第3章 (抵抗 -- オームの法則)
三島由紀夫 金閣寺
金閣は私の手のうちに収まる小さな精巧な細工物のように
思われる時があり、叉、天空へどこまでも聳えてゆく巨大な
怪物的な伽藍だと思われる時があった。
美とは小さくも大きくもなく、適度なものだという考えが
少年の私にはなかった。そこで小さな夏の花を見て、
それが朝霧に濡れておぼろな光を放っているように見えるとき、
金閣のように美しい、と私は思った。
また、雲が山のむこうに立ちはだかり、雷を含んで
暗澹としたその緑だけを金色にかがやかせているのを
見るときも、こんな壮大さが金閣を思わせた。
はては、美しい人の顔を見ても、心の中で「金閣のように美しい」
と形容するまでになっていた。
それにしても金閣の美しさは絶える時がなかった!その美はつねに
どこかしらで鳴り響いていた。耳鳴りの痼疾を持った人のように
いたるところで私は金閣の美が鳴りひびくのを聴き、それに馴れた。
音にたとえるなら、このような建築は五世紀半にわたって
鳴りつづけて来た小さな金鈴、あるいは小さな琴の
ようなものであったろう。その音が途絶えたら、、、、、、
「金閣寺」の主人公が金閣寺を絶えない美しさと想うように、我々は
オームの法則を電気世界の金閣寺と、電気世界のどこまでもそびえて行く
巨大な法則として利用いたします。
抵抗(Resistance)
抵抗値は電流の流れにくさを表す量ですが、ここでも水の流れと
比較します。水の流れは流れるパイプの断面積、流れる水の
性質などによって、流れ易さが決まりますが、それと同じように
電流の流れ易さ、にくさはその電気が流れるものの「長さ」「断面積」
「材質」で決まります。
抵抗の単位はオーム(Ω)です。
「材質」をベースに「長さ」に比例し、「断面積」に反比例します。
「材質」で抵抗の小さな導体は金、銀、銅、鉄などで、
抵抗がやたら大きい絶縁物はガラス、ゴム、プラスチックなどです。
オームの法則(Ohm’s law)
「はじめに」で述べたように、「オームの法則」さえ、理解しておけば、
工場の電気問題の8割は掌握できると言って良いでしょう。
「電流の大きさは電圧に比例し、電気抵抗の大きさに反比例する」
電圧(V)
電流(A)=―――――――
抵抗(Ω)
「電流が小さくなると電圧も小さく、大きくなると電圧も大きくなる」
電圧(V)=電流(A)X 抵抗(Ω)
「抵抗は電流が大きいものほど小さく、電流が小さいものほど大きい」
電圧(V)
抵抗(Ω)=―――――――
電流(A)
がオームの法則です。
電気抵抗6Ωの電球に3Vのバッテリを接続すると
電圧(V) 3
電流(A)=―――――――=――――A=0.5A
抵抗(Ω) 6
と0.5Aの電流が流れます。
バッテリを1.5Vにすると
電圧(V)1.5
電流(A)=―――――――=――――=0.25A
抵抗(Ω) 6
と流れる電流は半分の0.25Aとなります。